大規模修繕は「準備 → 診断 → 計画 → 業者選定 → 決議 → 工事 → アフター」の流れで進みます。 準備期間を含めると着工まで1〜2年かかるのが一般的で、早めの段取りが成功のカギです。
この記事では、初めて担当する管理組合の理事・オーナーの方に向けて、大規模修繕の全体の流れを7ステップで解説します。各段階で「何を決め、誰が動くのか」がわかり、総会に向けたスケジュールが立てられます。
▶ 費用の全体像は 大規模修繕工事の費用相場、診断の詳細は 建物診断(劣化診断)とは をご覧ください。
大規模修繕の全体の流れ【7ステップ早見表】
まず全体像を押さえましょう。
| STEP | 内容 | 主な期間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | 修繕委員会の発足・情報収集 | 数か月 |
| 2 | 建物診断(劣化診断) | 1〜2か月 |
| 3 | 修繕計画・資金計画の作成 | 数か月 |
| 4 | 発注方式の決定・業者選定 | 数か月 |
| 5 | 総会での決議 | 総会に合わせて |
| 6 | 工事の実施 | 3〜6か月程度 |
| 7 | 完了・引き渡し・アフター | 随時 |
※分譲マンション(管理組合)を想定した流れです。賃貸1棟オーナー様の場合はSTEP5(総会決議)が不要で、より短期間で進みます。
STEP1|修繕委員会の発足・情報収集
まず、理事会の中に修繕委員会(専門委員会)を立ち上げるのが一般的です。理事は任期で交代するため、継続して検討を進める体制をつくります。
この段階でやること:
- 長期修繕計画・過去の修繕履歴の確認
- 建物の気になる症状の洗い出し
- 大規模修繕の基礎知識のインプット
ポイント:ここで情報を持っておくと、後の業者選定で「言われるがまま」になりません。
STEP2|建物診断(劣化診断)
次に、専門家による建物診断で劣化状況を把握します。これが工事範囲・時期・概算費用を決める土台になります。
診断なしに進めると、不要な工事に払いすぎたり、必要な工事を見落としたりします。診断結果は総会で区分所有者に説明する客観的な根拠にもなります。
▶ 詳しくは 建物診断(劣化診断)とは をご覧ください。
STEP3|修繕計画・資金計画の作成
診断結果をもとに、工事内容の優先順位と資金計画を立てます。
- どの工事を今回行い、何を次回に回すか
- 修繕積立金で足りるか、不足時はどうするか
積立金が足りない場合は、工事範囲の調整・積立金の増額・一時金・管理組合向けローンなどを検討します。
▶ 資金面は 修繕積立金の目安と値上げの進め方 が参考になります。
STEP4|発注方式の決定・業者選定
工事の発注方法を決め、施工会社を選びます。発注方式は主に2つです。
- 責任施工方式:施工会社に診断〜施工まで一括依頼。中間コストを抑えやすい
- 設計監理方式:設計事務所/コンサルが仕様作成・業者選定・監理を担う
方式を決めたら、複数社から同条件で相見積もりを取り、比較検討します。ここは費用にも品質にも直結する重要ステップです。
▶ 選び方は 失敗しない大規模修繕の業者選び、方式の違いは 設計監理方式と責任施工方式の違い で詳しく解説しています。
STEP5|総会での決議
工事内容・業者・金額が固まったら、総会で決議します。大規模修繕は費用が大きいため、区分所有者の合意形成が欠かせません。
スムーズに通すコツ:
- 診断報告書・複数社の見積もり比較を資料で示す
- 費用の根拠と、先延ばしのリスクを説明する
- 事前に説明会を開き、疑問を解消しておく
STEP6|工事の実施
いよいよ着工です。工事期間は規模により3〜6か月程度が目安。居住者が住みながらの工事になるため、次の点が重要です。
- 工事説明会・お知らせの実施
- 足場設置に伴う防犯・洗濯物などの案内
- 進捗報告と、追加工事が出た場合の合意
▶ 生活面の注意は 住みながらの大規模修繕 で解説しています。
STEP7|完了・引き渡し・アフター
工事完了後、仕上がりを確認して引き渡し。保証内容・アフター点検を書面で確認しておきましょう。あわせて、今回の記録を次回の長期修繕計画に反映しておくと、次のサイクルがスムーズになります。
全体でどのくらい期間がかかる?
準備開始から工事完了まで、おおむね1.5〜3年を見ておくと安心です。特にSTEP1〜4(準備〜業者選定)に時間がかかります。「そろそろかな」と思った時点で動き始めるのが、結果的に費用と手間を抑えるコツです。
進め方でつまずきやすいポイント
- 理事の交代で検討が止まる → 修繕委員会で継続性を確保
- 診断せずに見積もりを取る → 比較の物差しがなく判断できない
- 1社だけで決めてしまう → 相見積もりで妥当性を担保
- 合意形成の準備不足 → 総会前の説明会でカバー
よくある質問(FAQ)
- 準備はいつから始めればいいですか?
-
着工の1〜2年前が目安です。診断・業者選定・合意形成に時間がかかるため、早めの着手が安心です。
- 修繕委員会は必ず必要ですか?
-
必須ではありませんが、理事の任期をまたいで検討を続けるために設けるケースが多いです。賃貸オーナー様は不要です。
- 工事中は住んでいても大丈夫ですか?
-
はい、住みながらの工事が一般的です。足場設置や騒音などの案内を丁寧に行います。
- 何社から見積もりを取ればいいですか?
-
最低3社、同じ仕様・数量条件で取得しましょう。詳しくは業者選びの記事で解説しています。
- 管理会社に任せきりでも進みますか?
-
進みますが、診断結果や相見積もりを自分たちでも確認することで、費用の妥当性を担保できます。
まとめ|まず「診断」から段取りを始める
大規模修繕は、準備から工事完了まで長い道のり。その最初の一歩が建物診断です。現状を正しく把握できれば、必要な工事・費用・スケジュールが具体的に見えてきます。
「何から始めればいいか分からない」段階からご相談ください。
株式会社ディーエーでは、一級建築施工管理技士による無料の建物診断・ご相談を承っています。進め方まるごとお手伝いします。
- 診断は無料
- 診断=契約ではありません
- 一級建築施工管理技士が対応
お電話:048-716-3091(平日9:00〜17:00)
対応エリア:埼玉・東京・千葉・神奈川/建設業許可:埼玉県知事許可(般-3)第74547号
株式会社ディーエー / 一級建築施工管理技士
本記事は、数多くの大規模修繕に携わる施工管理の実務知見にもとづき作成しています。